年収が上がったのに、なぜか楽にならない。
むしろ、しんどさが増してる気すらする。
周りには言えないけど、そう感じてる人、実はものすごく多いです。私のもとにも、外資金融やコンサル、大手メーカーで活躍する方々が相談に来ます。年収700万、1000万、中には2000万超の方も。でも、みんなこう言うんです。
「毎日しんどい。でも何がしんどいのか自分でもわからない」
「贅沢な悩みだ」と言われるのが怖くて、誰にも相談できない。
でもこれ、贅沢でも甘えでもありません。脳の仕組みの問題です。
脳は「成功」に慣れるようにできている
多くの人はこう信じてます。
「頑張る → 成果が出る → 認められる → 安心 → 楽になる」
残念ながら、脳はそうは動きません。
人の脳には「報酬系」という回路があります。目標を達成すると、ドーパミンという物質が出て「やった!」と快感を感じる。ここまではOK。
問題は、ドーパミンは同じ刺激に慣れるということ。
最初の昇進はめちゃくちゃ嬉しかった。最初のボーナスは興奮した。でも2回目、3回目は?同じ額じゃもう何も感じない。
これを「快楽適応(Hedonic Adaptation)」と言います。脳の「満足ライン」が、成功するたびに上がっていく仕組みです。
だから、年収が上がっても楽にならない。脳がそういう設計だから。
「もっと頑張れば」のループにハマる理由
快楽適応の厄介なところは、「もっと頑張れば、次こそ満足できるはず」と思わせること。
でも、次の昇進でも次のボーナスでも、同じことが起きます。満足ラインがまた上がるから。
終わらないループです。
しかもこのループの中にいると、「頑張ってるのに満たされない自分」を「努力が足りないせいだ」と解釈してしまう。本当は脳の仕組みの問題なのに、自分の問題だと思い込んでしまう。
ここがこのループの一番怖いところです。
じゃあ、どうすればいいのか
ドーパミンの罠から抜けるポイントは1つ。
「達成」ではなく「過程」に報酬を感じる脳に切り替えること。
具体的には、こうです。
寝る前に「今日できたこと」を1つだけ書く。
大きな成果じゃなくていい。「会議で1回発言できた」「資料を期限内に出せた」「早めに帰れた」——こんなレベルでOK。
「そんなことで変わるの?」と思いますよね。変わります。ここには脳科学的な根拠があります。
「できたこと」にフォーカスすると、なぜ変わるのか
人間の脳には**RAS(網様体賦活系)**という仕組みがあります。簡単に言うと、脳の「フィルター」です。
私たちの周りには毎秒、膨大な量の情報が飛び交っています。その全部を処理したら脳はパンクする。だからRASが**「今、何に注意を向けるか」を選別している**んです。
たとえば、赤い車を買おうと決めた瞬間に、街中で赤い車ばかり目に入るようになる。あれです。赤い車が増えたんじゃなくて、脳のフィルターが「赤い車」に設定されたから見えるようになった。
これと同じことが、思考でも起きます。
「自分はダメだ」にフォーカスしていると、脳は「ダメな証拠」ばかり集め始める。
会議でうまく話せなかったこと、上司の微妙な表情、同僚と比べて劣っているところ——RASが「ダメな自分」の情報を優先的にピックアップする。だからますます「やっぱりダメだ」と確信してしまう。
逆に、「今日できたこと」にフォーカスすると、脳は「できた証拠」を集め始める。
「あ、今日はちゃんと期限守れたな」「あの質問、意外とよかったかも」「前より落ち着いて聞けたな」——今まで気づかなかった「できている自分」が見えるようになる。
フォーカスしたものが、拡大する。 これは気の持ちようの話じゃなくて、RASという脳のフィルターの仕組みです。
だから「今日できたこと」を1つ書くという小さな行為が、脳のフィルター設定を書き換える。毎日やると、数週間で「自分を見る目」が変わり始めます。
まとめ
年収が高いのにしんどいのは、あなたが弱いからじゃない。脳の「快楽適応」が、成功するほど満足ラインを引き上げているだけ。
そして「もっと頑張れば楽になる」と思って走り続けると、永遠に楽にならないループにハマる。
抜け出す鍵は、脳のフィルターを切り替えること。
「できなかったこと」ではなく「できたこと」にフォーカスする。すると脳がその方向の情報を集め始める。フォーカスしたものが拡大する。
今夜、寝る前に1つだけ。「今日できたこと」を書いてみてください。
次回:「休日に何もできない」のは怠けじゃない——脳の「警戒モード」の話をします。
坂下絵美|
ここから先の閲覧にはログインが必要です
ログイン・会員登録はこちら年収が上がったのに、なぜか楽にならない。むしろ、しんどさが増してる気すらする。周りには言えないけど、そう感じてる人、実はものすごく多いです。私のもとにも、外資金融やコンサル、...
Posted on 2026/02/21「もっと評価されたい」「あの人にどう思われてるか気になる」「頑張ってるのに、なぜか伝わらない」年間8,000人以上のキャリア相談を受けていて、意外と、ぶっちゃけスペックが高い...
Posted on 2026/02/12「頑張ってきたのに、何のために働いているのかわからなくなりました」 これは、とても多くいただくご相談の一つです。【ご相談】30代前半、製薬会社でMRをしています。若手の頃から...
Posted on 2026/02/08「年収は悪くないのに、なぜか自信が持てません」 これは、とても多くいただくご相談の一つです。【ご相談】30代証券会社で働いています。会議で発言するのが怖いし、周りの目が気にな...
Posted on 2026/02/04こんにちは、メンタルラボ代表の坂下えみです。一生懸命に働いているのに、なぜか正当に評価されていない気がする。周囲の視線が冷たく感じたり、自分の存在意義を見失いそうになったりす...
Posted on 2026/01/27