ポジティブ思考は悪いことでしょうか?それとも良いことでしょうか?また、ポジティブ思考について調べるとポリアンナ効果・ポリアンナ原理・ポリアンナ症候群と似た言葉に出会います。これらは一体どういったものなのか、そもそもポジティブ思考は良いことなのか調べてみました。
ポリアンナ効果とは
最初に発見されたものはポリアンナ効果でした。これは、コミュニケーションにおいてポジティブな単語がネガティブな単語より多く使用する人間一般の性質のことです[1]。この効果は1969年にイリノイ大学のBoucher博士とOsgood博士により仮説として提唱されました[2]。さらに、近年のコンピュータによる大規模な文章データの解析によってこの仮説が支持されています[3,4]。
ポリアンナ原理とは
次に発見されたポリアンナ原理は、良い記憶の方が悪い記憶よりもより鮮明に思い出せるという性質のことです[5]。「古き良き時代」「懐古」といった言葉はよくこの性質を表現していると思います。また、ポリアンナ原理も誰もが持つ自然な性質であると考えられています[6]。
ポリアンナ原理は1978年にニューヨーク州立大学のMatlin博士とニューヨーク市立大学のStang博士により実験で証明されました。人間の情報処理の正確性は不快な情報よりも楽しい情報の方が高いこと、認識に要する時間はネガティブな情報よりもポジティブな情報の方が短いことが示されています。また、過去の記憶の中でポジティブな出来事の頻度が実際よりも多く感じられることもわかりました[7]。
ポリアンナの由来は?
ポリアンナという単語は、1913年より開始したポリアンナ(ポレアナ)というタイトルの小説シリーズに由来しています。日本では1986年に愛少女ポリアンナ物語という題でアニメが放映されており[8]、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。作品内で主人公のポリアンナは牧師のお父さんから、聖書に「喜べ」「楽しめ」という言葉が800回も出てくることは神様が喜べと言っているからだと教えられます。ポリアンナは教わった通りどんな逆境のなかでもポジティブな側面を見つける「よかったさがし」をしながら周囲の人をも明るくしていきます。
ポリアンナ症候群の診断基準はある?
ポリアンナ原理は由来となった物語のように人間が辛いことがあっても生きていくために必要な一種の防衛機制のようにも思えます。一方ポジティブ心理学において、ポリアンナ原理的な性質が過度になってしまうと対処すべき問題から現実逃避し事態をより悪くする側面もあるとの批判もあります。この文脈ではこういった性質のことをポリアンナ症候群と呼びます。あくまで心理学用語であり医学用語ではありません。事実厚生労働省が疾病や傷害の分類時に準拠している、WHOにより制定されたICD-10という診断基準[9]には”pollyannna syndrome”という疾病は存在しません[10]。ではどのような状況でポリアンナ症候群と批判されるほどの悪影響があるのでしょうか?
ポジティブだと不幸になる?
どういったポジティブ思考が、ポリアンナ症候群と非難されるような悪い結果を生むのでしょうか?もし思考パターンの影響で現実で支障が出るのであれば避けるべきです。そこで、物事のネガティブな面を無視することで起きうる負の影響を過去・現在・未来の時間軸で整理しました。
【過去】経験を活かせず失敗してしまう
既に過去に起きてしまった悪い出来事はもう変えられないため、解釈を変えてポジティブに受け取ることで新たな一歩を踏み出せるかもしれません。しかし、立ち直った後もなぜ失敗したのか、どうすれば次同じ状況になった際に失敗しないかと向き合うことから逃げ、良い面だけに注目してしまうと教訓を得られず終わってしまいます。そしてまた同じ失敗を繰り返してしまってはせっかくの経験が無駄になってしまいます。まずは落ち着くためにポジティブな面に注目するのは対処法の一つではありますが、立ち直ることが出来れば過去を振り返り次はどうするか考えておくのが良いでしょう。
また、偶発的な成功を過信することも問題です。例えばたまたまギャンブルに当たり、それ以降も忘れられず必要以上の大金を注ぎ込んでしまい破産してしまう。他には受験がうまくいったからと就職活動をなめてかかり対策をせず全部落ちてしまうといったパターンが考えられます。成功体験を自信に変えることは大事ですが、現実的に次も同じでうまくいくのか、今参加しているゲームのルールは何なのかよく考え適切な情報を集めることが重要です。
【現在】起きている問題を放置する
現在進行形で悪化していっている問題についても、良い側面のみを見て対処しなければ悪化してしまうかもしれません。例えば、今の待遇に納得いかないが、「でもOOより福利厚生はまし」などとどうにか良いところを見つけ出し本来の問題を放置してしまっては何も改善しません。今の状態が続くと未来でどうなるのか、そのことに自分はどう感じるのかよく考えてみると良いかもしれません。
【未来】予測できる問題に対処をしない
未来に起きうる出来事について実際以上にポジティブに偏って予想することで、回避できたはずの悪い結果に陥る可能性が高まることもあります。私も先日、天気予報で雨が降ると言っていたにもかかわらず、なんとなく大丈夫だろうと傘を持っていかなかったところずぶ濡れになってしまいました。今後起きうるリスクをリアルに想定した上でどうすれば避けられるのか、何をすれば理想的な状態になれるのかを考えることが重要です。
ポリアンナ原理が適用されない例外は?
ポリアンナ原理は人間が共通して持つ特徴だと言われています[6]。では例外は無いのでしょうか?実はうつ病と不安障害の場合は例外であるとMatlin博士とStang博士は指摘しています[7]。過去の記憶について悪いことを多く思い出してしまったり、良い考えよりも悪い考えを優先してしまうのです。ある意味では、思考のバランスがネガティブ側に寄ってしまった状態がこれらの疾患の特徴なのかもしれません。
まとめ
ポリアンナ効果もポリアンナ原理も、人間のポジティブに寄りがちなバイアスから生まれる性質を指す心理学用語だとわかりました。また、あまりにポジティブ一辺倒だと人生に問題があるため偏りすぎは良くないとの警鐘からポリアンナ症候群と呼ばれることもあるとわかりました。ポジティブ過ぎてもネガティブ過ぎても問題があるため、バランス良く考えられるようになると良いですね。
もしポジティブ思考とネガティブ思考のバランスが取れていないと感じる方、自分の場合はどう考えたらよいのかわからない方はメンタル・ラボにご相談下さい!
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1: Pollyanna effect - Oxford Reference
8: 愛少女ポリアンナ物語【公式アニメch アニメログ】 | Youtube
10: ICD-10 | WHO
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