【認知の歪み】認知の歪みとは?全15種の自動思考チェックリストと治し方

Y.T. By: Y.T. | Posted: 2021/08/01



 日常で嫌なことがあった時に必要以上に落ち込んでしまうことはないでしょうか?それはもしかしたら認知の歪みが原因かもしれませんん。どうしてもネガティブに考えてしまう・どんどんマイナス思考に陥ってループしてしまう方は要注意です。また、この記事ではどうすればこのループから抜けられるかも紹介しています。


認知の歪みとは?

 認知の歪みとは、抑うつ状態や不安に陥るまたはそれが持続してしまう思考のパターンを指す心理学用語です[1]。何か辛いことがあった時に、そこまで考えなくていいのに現実を実際以上に不安に感じてしまったり、冷静に合理的に考えると違うと分かるのについよりネガティブな側面に注目してしまうといった特徴があります。このように自然と毎回やってしまう思考の癖を自動思考と呼びます。以下に認知の歪みとされる15種類の自動思考を解説します。ついネガティブになってしまった時は当てはまるものが無いかチェックしてみて下さい。

 では逆に、ひたすらにポジティブになればいいのでしょうか?実はそのような状態はポリアンナ症候群として知られており、ポジティブに振り切れ過ぎるとそれはそれで問題があります。ポジティブ過ぎるとどんな問題があるのか気になる方はぜひチェックしてみて下さい。


Mental Lab | 【ポリアンナ症候群】ポジティブ思考は毒?薬?ポリアンナ効果・ポリアンナ原理・ポリアンナ症候群とは



認知が歪んでいる自動思考全15種

 自分に降りかかる事象や行動の結果などの事実に対して、つい自然ととってしまう考え方の癖のことを自動思考と呼ぶのでした。では、あなたはどんな癖を持っているかわかりますか?ここで認知が歪んでいる場合の自動思考15種類を紹介しますので、当てはまるものが無いかチェックしてみて下さい。


1. オール・オア・ナッシング思考(スプリッティング)

 スプリッティング、白黒思考、二極化思考とも呼ばれ、物事を完全な失敗か完全な成功のどちらかだとする思考パターンです。


例: ダイエット中にアイスクリームをスプーン一杯だけ食べてしまいます。するとダイエットは失敗してしまったのだからもう意味がないとガッツリ食べてしまう。

 この例ではこれまでのダイエットのための努力には成功していることを認識することが脱却の第一歩です。


2. ポジティブ面の拒絶

 良かったことを無視したり、悪いことがあるとやっぱりそうだと考える思考パターンです。認知の歪みの中でも最も一般的な思考パターンであり、オール・オア・ナッシング思考のオールを無視した極端な場合として現れることもあります。


例: 何かうまくいったとしても、きっと誰でもこんなこと出来ると考える。


3. 過度の一般化

 1度の失敗や不幸を何度も繰り返し起きると予想するように、過度に一般化してしまう思考パターンです。


例: 1回目のデートには誘われたが、2回目は誘われなかった。すると友達に電話で「いつもこう。もう愛なんてみつからない!」と話した。

 この例の場合、冗談と自分で分かってるうちは問題ないのですが、もしだんだん自分で信じてきてしまっていたら要注意です。まずは現状を正確に分析して実際のところ証拠はどれくらいあるか客観的に再考してみると良いでしょう。


4. フィルタリング

 物事のネガティブな側面のみに注目し、ポジティブな側面をフィルタリングして無視してしまう思考パターンです。


例: 仕事でプレゼンテーションをして多くのポジティブな反応と1つの批判をフィードバックされた。たった一つのネガティブな反応にこだわり、ポジティブな反応を忘れてしまった。

 長期的にみて多くの褒め言葉を忘れることはコストパフォーマンスの良い判断でしょうか?ごく僅かなネガティブな要素に多くの時間を割くことが本当に重要なのか、改めてよく考えてみると改善するかもしれません。


5. 結論への飛躍

 少ない情報で悪い結論と決めつけてしまう思考パターンです。さらに細かく2つに分類されています。


5-1. マインド・リーディング: 本人に考えていることを聞かずに勝手に推測し、最悪のケースを想定してしまう思考パターンです。

例: 1人で昼食を食べている時に、自分を見る人は負け犬と思っていると思い込む。

 

5-2. 先読みの誤り: 起きている悪い事象の結果を否定的に予測する思考パターンです。

例: いま罹っている病気はきっと一生改善しないと自分に言い聞かせる。

 

6. 拡大解釈、過小解釈

 ネガティブなことを本来よりも大きく捉えたり、ポジティブなことを実際よりも小さく解釈する思考パターンです。可能性が低いにもかかわらず最悪の結果ばかり考えてしまったり、ちょっと悪い状況をもうダメだと諦めてしまうパターンでもあります。


例: 一度失敗すると自分はなんてダメなんだと落ち込み、成功してもこんなことくらい出来て当然だと無視する。


7. 感情の理由づけ

 感情を根拠に現実の物事を判断してしまう思考パターンです。


例: 飛行機は怖い。だから飛行機は危険な移動手段だ。


8. べき思考

 「やるべきだったのに」、「やらなきゃいけなかったのに」と自分の中でルールを作ってしまう思考パターンです。このルールを自分で破ってしまうと必要以上に罪悪感が生じ、自罰的になり最悪の場合真逆の行動を取ってしまうこともあります。


例: 本当はもっと運動しないといけないのに。自分はなんてダメなやつなんだ


9. 感謝の罠

 本来は感謝する必要が無い場面でも、得体のしれない罪悪感から感謝しなければならないと考えてしまったり、辛い境遇でも自分より不幸な人を想像して自分の現状にもっと感謝しなければと考えてしまう思考パターンです。


例1: 自分はお金の無い学生だが、貧しい国の子どもたちは明日食べるものも無いかもしれないんだから多少の空腹感は我慢しなくちゃ

例2: パートナーから暴力を受けているけど、食べ物や家は提供してくれているから感謝して我慢しなくちゃ


10. 個人化

 個人化は自分がコントロールできない範囲の責任でさえも自分にあると思う思考パターンです。


例1: 里子が自分が養子縁組されなかったのは愛情が足りないからだと思いこむ

例2: 成績の悪い子をもつ親が、自分が親として不十分だからだと思い込む


11. 非難

 個人化とは逆に自分の責任範囲の問題を他人のせいにする思考パターンです。


例: 夫婦間の問題の責任をすべてパートナーに押し付ける


12. 正義バイアス

 自分の正しさを証明するためであれば何でもする思考パターンです。立場が正しければどんな言い方をしても・何をしても良いんだったっけと落ち着いて考えることが重要ではないでしょうか。


例: 私と議論することであなたがどれだけ嫌な思いをしようとも、私は正しいのだから、何をしてでもこの議論には勝つつもりだ


13. 変化の誤謬

 自分の幸福や希望は他人に依存していると考え、圧力をかけたりおだてたりすれば自分のために変化すると考える思考パターンです。虐待の際にもこの思考パターンが見られることがあります。


例: 自分の幸せは家族次第なので、相手がどう思おうと毎日褒めたり激励して自分の望むように家族を変えることは正しいだ

 

14. 公平性の誤謬

 人生は公平であるべきという信念に基づき、不公平なことを見つけると怒りが湧きすぎたり落ち込みすぎたりする思考パターンです。

 

15. 天国の報酬の誤謬

 まるで誰かが自分に点数をつけているかのように、誰も認識できないところでの自己犠牲や自己否定によってあとでその分の報いがあると信じる思考パターンです。結果報酬が得られないとどんどん苦しくなってしまいます。



認知の歪みの治し方

 以上15種類の認知の歪みのうち、もしかしたらどれか1つは当てはまったのではないでしょうか。ただ、これは何もおかしなことではなく、少しでも当てはまったからといってすぐに治療しないといけないわけではありません。その事によって自分や誰かが困っていたり不幸になっている場合は、原因を取り除く手段として認知の歪みを治すことが選択肢になります。


自分を客観視してみる

 歪みを治すには客観的に自分の自動思考を知る事が重要です。まずは文字や音声の形で自分の考えていることをすべて出してみましょう。その際には、どんな事が起きて、それに対して自分がどう感じどう考えたかを全てこと細かく表現してみるとどんな自動思考を持っているかのヒントが多くなります。

 もし自分で自分を観察してもよくわからなければ自分以外に客観的に見てもらうのも手です。自分が自然に持っている考え方の癖を指摘してもらいたいと伝えて相談するとヒントが得られるかもしれません。


認知行動療法

 自分や友人だけでは解決出来ない場合は専門家の助けを借りることが解決に導く場合もあります。専門的には認知行動療法による治療が取られる事があります。この手法は、不適切な認知の歪みを特定しそれを排除するために用いられる一般的な治療法です。典型的にはうつ病と診断された人に用いられます[5]



自分では良くわからない場合はご相談下さい

 自分ではどんな認知の歪みがあるかわからない、紙に書いたり人に相談してもうまくいかない、認知行動療法に興味があるという方はぜひメンタルラボにご相談下さい。もしかしたら問題は自分だけで解決しようとしていることにあるかもしれません。あなたに合ったカウンセラーがお悩みを聞きます。




1: Helmond, Petra, et al. "A meta-analysis on cognitive distortions and externalizing problem behavior: Associations, moderators, and treatment effectiveness." Criminal justice and behavior 42.3 (2015): 245-262.

2: Burns, David D. (1980). The Feeling Good Handbook: Using the New Mood Therapy in Everyday Life. New York: W. Morrow. ISBN 978-0-688-01745-3.

3: Beck, A. T. (1976). Cognitive therapies and emotional disorders. New York: New American Library. 

4: Burns, D. D. (1980). Feeling good: The new mood therapy. New York: New American Library.

5: Martin, Ryan C., and Eric R. Dahlen. "Cognitive emotion regulation in the prediction of depression, anxiety, stress, and anger." Personality and individual differences 39.7 (2005): 1249-1260.


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